2010 Fiscal Year Annual Research Report
台湾における選挙制度改革とその影響:日本の経験との比較研究
Project/Area Number |
21730131
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
松本 充豊 天理大学, 国際学部, 准教授 (00335415)
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Keywords | 政治学 / 比較政治 / 選挙制度 / 制度改革 / 台湾 / 日本 |
Research Abstract |
本年度は、台湾における選挙制度改革の影響について日本の事例と比較しながら考察した。政党システムの二大政党化については、小選挙区比例代表並立制導入後、台湾では最初の選挙で一気に進み、徐々に進展した日本と大きく異なっていた。その理由の一つとして、台湾にはナショナル・アイデンティティをめぐるイデオロギー対立が存在したことがあげられる。さらに、本研究では制度的な要因の重要性を指摘した。小選挙区が占める比率が極めて高いとされる日本(62.5%)を上回る台湾(64.6%)では、「強い選挙制度」である小選挙区制の政党数削減効果がより大きく表れたといえる。 政党(党執行部)と議員(候補者)の関係では、選挙制度改革により小選挙区制、拘束名簿式比例代表制という有権者に政党投票を促す選挙制度が導入されたことで、政党の影響力が強まるものと予測された。事実、選挙戦ではそうした側面も見られた。しかし、理論的な考察および選挙区選出の立法委員への聞き取り調査から、依然候補者にとっては個人投票が重要であることを明らかにした点に本研究の意義がある。そうした理由の一つには、半大統領制が採られている台湾では、立法委員選挙が政権選択選挙とならないという制度的な要因があると考えられる。ただし、現段階では選挙がまだ1回しか行われていないことから、次回選挙以降の考察を踏まえた検証が必要である。
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