2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730138
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂井 一成 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (60313350)
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Keywords | フランス / 地中海 / 安全保障 / EU / 地域協力 / 安全保障文化 / 予防外交 |
Research Abstract |
本研究は、冷戦後のフランス歴代政権が地中海地域に対していかなる外交理念・戦略・政策を形成・展開してきたのかを明らかにし、その多国間主義外交の理念・戦略の本質を解明することを目的としている。 最終年目となる本年度は、フランスの地中海外交に関する内外の研究論文の渉猟を継続しつつ、安全保障文化という概念に注目しつつ、フランスの具体的な地中海での対外政策の展開とその背景事情の解明に努め、総合的にフランスの対地中海外交の特質の検討・総括作業を進めた。 そして、フランスの研究者(西パリ・ナンテール大学G・フェラギュ准教授、パンテオン・アサス大学(パリ第2大学)J・J・ロッシュ教授、エコール・ミリテール・J・デュフルク教授など)との意見交換のほか、フランスと同じくEU加盟国として地中海外交に深い関わりを持つイタリア・スペインの動向を探るため、ナポリ東洋大学N・ランナ准教授、同S・ソンマ氏、カタロニア放送大学L・ロペスヴィダル准教授などとも意見交換を、フランス、イタリア、ベルギーへの出張の際の面談や、その前後でのe-mailのやりとりを通じて行った。 これらの作業を踏まえて研究成果を「EU統合と拡大の軌跡-トルコをめぐる確執と拡大のゆくえ」佐藤洋治・鄭俊坤編『アジア共同体の創成に向かって』(芦書房、2011年11月)、「フランスの対外政策における地中海の存在意義-歴史的文化的背景と安全保障文化」『国際政治』第167号(2012年1月)にまとめて公表した。 さらに、ウェブ誌『nippon.com』(2011年12月15日付および2012年2月14日付け)においても、「『アラブの春』と日本外交~地中海から見えてくること」を日本語とフランス語で公表して、研究成果を通じた日本外交の分析への応用と、その国内外への発信を行った。
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