2011 Fiscal Year Annual Research Report
成長モデルのコンテクストにおける日本の労働市場の変化と90年代政策の影響の分析
Project/Area Number |
21730152
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
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Keywords | Japanese Labor Market / Unemployment / Age-dependent labor market outcomes / Worker Flows / Search and Matching / Life-Cycle |
Research Abstract |
今年度は、本プロジェクト関連の3本の論文を完成し、見直し、いくつかの会議で発表し、出版用に提出した。1本目の論文は、日本経済における労働市場の流れの実証的分析に関するものである。中嶋亮氏及び田中隆一氏との共著で、「Changes in Japan's Labor Market Flows due to the Lost Decade」の論題でRIETIのディスカッションペーパーとして発表し、さらなるフィードバックを受ける目的でいくつかのワークショップでも発表した。この論文の主要な研究成果は、1990年代に日本の労働市場フローは変化し、その多くは「失われた10年」以前に戻ることはなかったということである。今年度はこの論文の見直し、発表、学会誌への投稿に取り組んだ。 同様にRIETIのディスカッションペーパーとして発表された2本目の論文では、経済サイクル関連課題の分析にあたり、日本の労働市場の研究にはどのような種類のモデルをいかに用いるべきかを知る目的で以前の記事の分析用に構築したデータを使用している。この論文も中嶋亮氏及び田中隆一氏との共著で、論題は「Japan's Labor Market Cyclicality and the Volatility Puzzle」である。米国でも同様であるが、マクロ文献で扱われている標準モデルには日本に適さないものもあるのでモデルにはより日本の特徴的な要素を反映させる必要があることがわかる。この論文の見直し、発表、学会誌への投稿に取り組んだ。 最後に、「Life-Cycle Search, Match Quality and Japan's Labor Market」を論題とする3本目の論文の見直し、会議での発表、学会誌への投稿を行った。藤本淳一氏との共著である。この論文では、1990年代の不況が、各年齢層の労働者の失業率、求職率、離職率に及ぼしたそれぞれの影響を研究した。その結果、生産レベルの低下は1990年代に起こった数々の変化を説明していること、また高齢労働者は再就職の可能性が極めて低いので解雇されないよういっそう保護されるべきであること、がわかった。
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Research Products
(6 results)