2009 Fiscal Year Annual Research Report
近似的メカニズムによるマッチングマーケットデザインの新手法
Project/Area Number |
21730155
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高宮 浩司 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (40333588)
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Keywords | 経済理論 / ミクロ経済学 / メカニズムデザイン / マーケットデザイン |
Research Abstract |
本研究の目的は非2部のマッチング環境で機能するマッチングメカニズムの設計・提案である。このようなメカニズムを実装できれば、現実社会における多様な資源配分問題に応用ができる。しかし、非2部マッチング環境では、ほとんどの場合、完全に機能するメカニズムを得ることができない。したがって、本研究では近似的に機能するメカニズムの構築を目指す。そのために、計算機でのシミュレーションと純粋理論的手法をインタラクティブに用いるのが本研究の特徴である。平成21年度においては、新しいメカニズムの構築の理論的な洞察を得るため、1部マッチング環境におけるある種の確率過程(myopic blocking dynamics)を数値シミュレーションによって分析した。これは田中章氏(北海道大学情報科学研究科)の協力に下に行われた。その結果から、この確率過程の吸収状態について注目すべき性質を予想できた。さらにこの性質を理論的に分析しその数学的証明を得た。目下この結果をより広汎なマッチング環境へと一般化するための理論的研究を継続中である。さらに「提携形成問題」と呼ばれる一般的なマッチング環境におけるメカニズム設計について、以前からの研究結果に改善を行った。これはメカニズムが「各提携レベルの満場一致原則」(coalitional unanimity)なる自然な要請を満足することの含意を特徴づけたものであり、非2部マッチング環境における新しいメカニズムの構築に重要な洞察を与える。この結果は2点の論文にまとめられたのち専門学術誌に投稿され、現在審査中である。
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