2011 Fiscal Year Annual Research Report
国際公共財供給メカニズムへの参加インセンティブの設計
Project/Area Number |
21730156
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
篠原 隆介 信州大学, 経済学部, 准教授 (40402094)
|
Keywords | 公共財 / 公共財供給メカニズム / 参加 / 国際環境協定 / 交渉 / メカニズム・デザイン |
Research Abstract |
平成23年度は、研究の最終段階として、(1)これまでの分析を補完する理論的な研究を行い、(2)平成21、22年度の研究成果をワーキングペーパーや学会報告で公開することに力を注いだ。 (1)について、まず、平成21、22年度までの研究を拡張し、平成21、22年度で得られた結果が、どの程度、モデルの拡張性に対して頑健であるか調査を行った。平成21、22年までの研究成果から、各プレイヤーが公共財の供給量に要求水準を持つ場合には、公共財供給への自発的参加問題は深刻とならないことが分かっている。平成23年度の研究では、プレイヤーの持つ要求水準の構造を数学的に一般化し、公共財供給への自発的参加問題が深刻になるか否かを検証した。結果、わずかな数学的な一般化に対しても、平成21、22年度の結果は、頑健ではないことが判明した。これらの研究成果により、どのような場合に、公共財供給への自発的参加問題が深刻になるのか明らかになると同時に、公共財供給への自発的な参加問題が深刻とならないのは、稀な場合のみであることも分かった。また、要求水準の構造が一般化されたことにより発生する公共財供給への不参加問題は、Nishimura-Shinohara (2012, Social Choice and Welfare)で提示されたunit-by-unit participation mechanismを応用する形で、解消できる可能性があることも発見した。 (2)について、本研究の成果は、EconometricSociety第65回ヨーロッパ大会で論文報告を行い、広く研究者と意見交換を行った。また、研究成果を論文にまとめ、信州大学経済学部とSSRNのワーキングペーパーとして公開した。
|