2010 Fiscal Year Annual Research Report
動学モデルを考慮したマーケットデザイン:農産品市場を中心として
Project/Area Number |
21730157
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾川 僚 大阪大学, 社会経済研究所, 講師 (50533204)
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Keywords | ゲーム理論 / オークション / 動学モデル |
Research Abstract |
今年度は、大まかに分けて5つの成果が挙げられた。まず、前年度より引き続き行っている花卉市場のルールの日欧比較を、最先端のオークション理論と整合的に分析する理論研究において、理論的な仮定を緩めた場合に関していくつか追加的な結果が得られた。これの成果をまとめて、現在国際査読誌において査読中である。次に、ゲーム理論を用いた動学モデル分析の新しい研究として、多数の参加者が長期的に競争する動的コンテストの問題を、静的(一回限り)コンテストに関する先行研究と整合的な形で定義し、その最適設計問題に関する新しい成果を得た。これは最適オークション設計、コンテスト、不完備情報動学モデル等の分野をまたぐ重要度の高い研究であり、各種学会において報告可能な形式に成果をまとめることができた。これから派生する研究として第3に、全支払い入札と呼ばれるオークション理論の研究分野において新しい成果を得た。全支払い入札はコンテスト等、参加者の競争を統一的な枠組みで分析するものでマーケットデザインと深い関連性があるが、ハンデと呼ばれる非対称な枠組みを導入したモデルで均衡の様子が非常に単純な形で記述できることを示すことができた。従来、非対称なオークションの分析は複雑であると考えられてきたことと対照的な重要度の高い成果であり、この成果は本年度に学会等で報告の上、現在査読中である。第4に、前年度より継続して行っている動学モラルハザードの最適契約に関する論文の査読過程が進み、新しい成果をふまえて大幅な改訂を行った。また、農地の交換についてマーケットデザインの見地から新しい研究を行った。
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Research Products
(9 results)