2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730159
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
安岡 匡也 北九州市立大学, 経済学部, 准教授 (90437434)
|
Keywords | 社会保障 / 年金 / 出生率 / 育児支援政策 |
Research Abstract |
今年度は、少子高齢社会における持続可能な社会保障制度の在り方をテーマとした研究を行い、雑誌及び学会報告で研究発表を行った。まず、出生率内生化モデルの下で賦課方式年金制度の規模が大きくなると持続的な出生率の減少が起きることを明らかにした。また、介護保険制度が存在する下で介護保険のための保険料負担が大きくなれば、同じように家計の可処分所得が減少することを通じて持続的な出生率の減少が起きることを明らかにした。この場合、介護保険の保険料を若年世代ではなく、老年世代にも負担させることによって、持続的な出生率の減少が食い止められることを導き出した。なお、介護保険制度については、これまでにどのような研究が存在するのか、介護保険制度の現状及び問題点はどのようであるかを把握するための論文も作成したが、それによりこの分野において行われるべき研究テーマが明らかになった。これについて、研究をさらに進め、その成果を次年度において学会報告する予定である。また、日本では年金支払いや育児支援政策が必ずしも租税財源のみで行われているのではなく、公債金収入による財源で一部は賄われている。そのような財政運営において、公債残高はどのように推移するのかについても分析を進め、それは海外の学会で報告した。育児支援政策と年金の給付についても研究を行い、育児支援政策(子ども手当、教育補助政策)によって、長期的に所得代替率をどの程度引き上げるかを明らかにした。 これらの研究成果は日本の年金制度の持続可能性や育児支援制度の在り方、年金や介護などの社会保障制度を運営するためにどのような形で財源を調達すればよいのかを示しており、今後の社会保障制度の在り方を考える上で重要な結論を導き出したものと考えられる。
|
Research Products
(12 results)