2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730161
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
東 陽一郎 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (80327692)
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Keywords | 情報の価値 / 曖昧さ / 不確実性 |
Research Abstract |
現実の意思決定において情報は重要な財である。経済学において情報の価値・需要に関する論文は、意思決定主体が費用を払うことでシグナルの情報の質を選ぶことができるという状況を考え、情報の質をどれだけ改善するかを情報の需要と考える。意思決定主体はシグナルのもつ情報の質を選んだ後、観察不可能な経済構造のパラメータと相関しているシグナルを観察する。既存研究に共通の仮定は、シグナルの情報の質が正確(precision)さという一つの値で表現されるということで、意思決定主体が選ぶシグナルの正確さが情報の需要となる。既存研究(Radner and Stiglitz 1984、Chade and Schlee 2002)は期待効用最大化を仮定し、ある条件のもとで情報の価値は大域的には凹ではないということを示した。これに対し、本研究では、シグナルの情報が曖昧である状況を考える。このとき、シグナルの情報の質は正確さの候補が複数ある状況として表現される。本研究では、情報の質が区間で表現されるケースを考える。意思決定主体は区間の各点に対応するシグナルの正確さの下での期待効用を計算し、その最小値を最大化するように区間の位置と幅を選択する。このような意思決定問題を扱った論文"A note on the value of information with an ambiguous signal"を作成中である。この論文では、意思決定主体がどのように区間の幅を変化させることができるかが情報の価値の分析に重要であることを示した。また、本研究以外に、兵庫一也氏・武岡則男氏との共著論文、"Subjective Random Discounting and Intertemporal Choice"がJournal of Economic Theory誌に掲載された。
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