2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730165
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
岡田 敏裕 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (50411773)
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Keywords | 中期的変動 / 所得格差 / 技術伝播 |
Research Abstract |
本研究では、日本および米国の中期的変動メカニズムを解き明かし、国民所得などのマクロ経済変数の中期的変動を分析することを主な目的としており、そのために理論モデルの構築とモデルのカリブレーション・シュミレーション分析を行う計画である。本研究は米国と日本の二国を対象としているため、2つの国が影響しあう理論モデルの構築を目指す。そこで2010年度は、一国を技術開発国、他国を技術応用国とする二国モデルの構築を目指した。これに関連して、以下の二点を中心に分析を行った。 第一に、最初の段階として、技術進歩を内生的に扱う内生的成長理論を景気循環モデルに組み込み、技術開発国のモデル化を行った。更に、米国を技術開発国と見なし米国データを用いて、構築したモデルをカリブレーションし、シュミレーション分析を行った。分析の結果、米国のR&D投資の変動で、実際の米国のマクロ経済変数の多くの中期的変動を説明できることが分った。分析結果は2011年度の始めに論文として公表予定であり、現在原稿を執筆中である。なお、景気循環モデルと内生的成長論を組み合わて景気循環(中期)を分析した研究はこれまであまり行われてきていない。 第二に、技術応用国をモデル化する試みを行った。ここで言う技術応用国とは技術開発国で開発された技術を取り入れる国を指す。より厳密に言うと、技術応用国は技術開発国で開発された先端技術を学び、自国での使用に適した形に変換させ、自国に取り入れるということを意味する。2010年度は、技術応用国のこのような研究開発(R&D)活動を取りこんだ技術応用国の景気循環モデルの構築を開始した。まだモデルは完成していないが、構築後は技術開発国のモデルと組み合わせて、二国からなる中期的景気循環モデルを構築し、シュミレーション分析を行う予定である。
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