2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730166
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
山崎 聡 高知大学, 教育研究部・人文社会科学系, 准教授 (80323905)
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Keywords | 経済思想 / 厚生経済学 / 功利主義 / 非経済的厚生 / 必要充足 |
Research Abstract |
本研究は、アーサー・セシル・ピグーが構想した倫理・道徳哲学の内在的な研究およびその厚生経済学との関連の考察を目的としている。ピグーの倫理学は、究極的な目的に関わりなおかつ厚生経済学の背後にあって、そのあり方を規定しているという意味で重要であるにもかかわらず、その実質的な内容を本格的に追究したものはこれまでのところ皆無といって差し支えない。本研究は、この点を正面から扱い、ピグーにおいても確固とした倫理学・道徳哲学的知見の基盤があることを主張しようとするものである。また、そのことを通じて、当時の経済学の科学化の流れによって捨象されてしまったピグーの厚生・福祉思想を再構成し、彼の厚生経済学が本来持っていた思想的豊饒性を描き出すことも意図している。 その目的の下、平成23年度においては、ピグーの道徳哲学(理想的功利主義)の内在的研究とその背景(シジウィックやムアからの影響)、および厚生経済学との関連(非経済的厚生の追究と必要充足原理の存在)を英語論文にまとめて、第11回国際功利主義学会(ISUS XI)にアプライした。結果、査読付きプロシーディング(電子媒体)として掲載された。 また、「厚生経済学の原型と展開-A.C.ピグー以降の正史と最近の研究」という論題で、招待講演を鹿児島国際大学経済学部で行った。そこにおいて、従来の厚生経済学史(正史)に対する批判的論点(ケンブリッジ学派が本来内包していた多元的要素、オックスフォードやLSEの厚生経済思想)を解説した。
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Research Products
(3 results)