2009 Fiscal Year Annual Research Report
文明観としての経済思想の変容:J.S.ミル、シジウィック、ケインズを通じて
Project/Area Number |
21730168
|
Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中井 大介 Kinki University, 経済学部, 講師 (70454634)
|
Keywords | 功利主義 / ミル / シジウィック / ケインズ / 経済と倫理 |
Research Abstract |
本年度は、ジョン・スチュアート・ミルおよびヘンリー・シジウィックに絞り、両者の経済思想と文明観に関する研究を進展させた。ミルに関しては、国内外の一次資料および二次資料の収集・精査を進めつつ、研究成果を以下のように公表した。(1)学術講演「J.S.ミルの経済・社会思想の功罪:人間性の解釈をめぐって」(名古屋大学)において、従来見過ごされがちであったミルの経済思想に内在する問題点を明らかにした。(2)論文'J.S. Mill's Utilitarianism and Practical Proposals'を著し、その内容を国際学会(University of Colorado)にて発表するなどした。ここではミルの議論を、現状・実践・理想の三段階に区別しながら整理することで、包括的なで整合的なミル像の構築を試みた。 以上のようなミルに関する研究と並行しながら、シジウィックの文明観、およびシジウィックとミルの思想の関連性について資料調査を大英図書館やケンブリッジ大学で行うなどしながら、研究成果を以下のようなかたちで公表した。(1)国内学会発表「功利主義の諸相:ベンサム・ミル・シジウィックを通じて」(北海道大学)において、ベンサム・ミル・シジウィックの功利主義経済思想を整理し、その違いを明らかにした。(2)国際学会発表「L'Utilitarismo di Sidgwick e la Filosofia Pratica」(University of Catania)、学術講演「自由放任からの脱却;シジウィックの功利主義を通じて」(関西学院大学)、共著書『市場社会論のケンブリッジ的展開』(日本経済評論社)、共著書『イギリス経済学における方法論の展開』(昭和堂)などを通じて、コンテクストに照らしながらシジウィックの思想の全体像や文明観の解明を進めた。
|
Research Products
(7 results)