2010 Fiscal Year Annual Research Report
金利の予測可能性:動学的金利期間構造モデルを用いた検証
Project/Area Number |
21730170
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高見澤 秀幸 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 准教授 (60361854)
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Keywords | 金利期間構造 / ボラティリティ / オプション / イールドカーブ / 予測 |
Research Abstract |
以下の2点の成果を挙げる。 (1)イールドカーブとは、満期までの時間を金利に対応させた曲線である。この曲線には、投資家のリスク選好や将来見通しが反映されている。このフォワード・ルッキングな情報を活用することには意義がある。本研究では、金利ボラティリティの推定・予測に対してこの活用を試みた。ボラティリティの推定・予測は、投資リスクの管理において不可欠であり、ゆえにファイナンス分野の一大研究テーマとなっている。その推定に際し、従来の研究が主に単系列のデータを用いるのに対し、本研究はパネル状のイールドカーブのデータを用いる。ここに大きな特色がある。これにより、時系列方向の情報のみならずフォワード・ルッキングな横断面方向(満期方向)の情報をも活用することができ、結果として予測精度の向上が期待される。この予測を、データの時系列と横断面の両方向を説明するために作られる動学的金利期間構造モデルを用いて行った。その際、既存研究にはないボラティリティの定式化を試みた。米国データを用いた実証分析において、提案モデルのボラティリティ予測力は既存の金利期間構造モデルのそれを大幅に上回ることを確かめた。さらに、提案モデルのボラティリティ予測量をGARCHなどの時系列データのみから組成した予測量と組み合わせれば、後者のみを用いた場合よりも予測力が向上することを確かめた。この論文は、ワーキングペーパー「Term Structure Models Can Predict Interest Rate Volatility. But How?」にまとめた。現在投稿中である。 (2)前年度から取り組んでいた、データ適合的なボラティリティ変動モデルを考慮した上でオプション価格の高速計算を可能にする方法について、ワーキングペーパー「An Approximation of European Option Prices under General Diffusion Processes」にまとめた。現在、投稿中である。
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