2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730174
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
金谷 太郎 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (50378957)
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Keywords | 計量ファイナンス / 高頻度データ / マーケットマイクロストラクチャーノイズ |
Research Abstract |
異なる金融資産間の共分散を高頻度データを用いて推定する際には,非同期バイアスとマーケット・マイクロストラクチャー・ノイズという2つの問題に対処しなければならない.前者の問題はHayashi and Yoshida (2005)により提案されたCumulative Covariance推定量(以下CC推定量)を適用することによって解決される一方で,後者の問題に対してはさまざまな研究がなされてきた.その中でも有力な方法として知られているのがサブサンプリング法という手法であるので,CC推定量にサブサンプリング法を用いることでノイズの影響を除去する研究をすすめた. まず,CC推定量のサブサンプル法への適用の仕方を工夫することによって,既存の手法よりも推定効率のよい推定量を提案した.その推定量を使う際に必要となるサブグリッドの決定方法には,以前から研究しているWeighted Realized Covarianceの枠組みを使って,平均二乗誤差の最小化を用いた.また,これらの理論的結果をモンテカルロ実験によってその妥当性を確認した. しかし,上記の結果はノイズの仮定にやや強いことが問題である.そこで日本の個別株式のデータの実証分析を行い,特にノイズの分散共分散構造を推定したところ,米国や日本の既存の研究と同じく多くの銘柄の株式データでは独立ノイズの仮定は強すぎることが確認できた.したがって実用的にはノイズの相互依存関係を考慮に入れると理論的な結果よりもより保守的なサブサンプリング法が現実的である.
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