2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730176
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮川 幸三 慶應義塾大学, 産業研究所, 准教授 (00317281)
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Keywords | 経済統計学 / 観光統計 / 地域産業連関分析 / 地域統計整備 |
Research Abstract |
2010年度は、本研究の最終的な目的の1つである、地域産業連関表推計に向けたデータ収集を行うと同時に推計作業を開始した。昨年度に行った観光統計に関する調査および日本の地域統計に関するヒアリングによって、近年の観光統計整備の進展に伴って都道府県間の人の移動やそれに伴う消費活動を統計データ上で把握することが可能になっていることが明らかになった。加えて、マクロレベルの統計データとの整合性をチェックできる利点を考慮した結果、単一の都道府県だけを対象にするのではなく、全ての都道府県の地域産業連関表をリンクした都道府県間産業連関表を作成することが有用であるという結論に達した。このような地域間表を用いれば、例えば、観光消費によって誘発される経済波及効果を都道府県別に詳細に把握し分析することも可能になる。 具体的な作業としては、まず現在までに公表されている全ての都道府県の産業連関表を収集した上で、各地域の表における定義や概念等の整合性をチェックした。その結果、特に農林水産業・製造業以外の交易に関して、地域ごとにその定義や概念が統一されていないことが明らかとなった。このような概念・定義の不一致は、地域間比較の意味を損なう要因となることから、各種観光統計や事業所企業統計、国勢調査等の統計データを利用しながら、全ての地域について同一の定義・概念を適用した地域産業連関表の再整備を行った。またその上で、全ての地域の地域産業連関表を接続することによって、人の移動に伴う消費活動による交易および経済波及効果の把握に重点を置いた都道府県間産業連関表の試算を開始している。
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