2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730180
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
柳瀬 明彦 Tohoku University, 大学院・国際文化研究科, 准教授 (10322992)
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Keywords | 動学的貿易モデル / 微分ゲーム / 公共中間財の生産外部性 / 企業の環境意識 / 貿易自由化の厚生効果 / 貿易パターン / 内生的出生率 |
Research Abstract |
本研究は、資源・環境問題やインフラ整備のようなストックとしての外部効果と国際貿易との相互関係を理論的に検討するものであり、具体的には 1.越境汚染ストックが存在する下での貿易自由化の効果 2.公共中間財のストック外部性と貿易パターン・貿易利益 3.動学的貿易モデルにおける均衡動学の再検討 という3つのテーマについて、新たな理論的知見および政策的含意を導くものである。そのため、まず関連する分野の書籍や論文の整理および検討、学会やワークショップへの参加を通じて、関連分野の理解を深めることに努めた。 研究テーマ1.については、政府が環境汚染ストックの蓄積を考慮に入れて環境政策を決定する経済におけう貿易自由化の効果を検討し、論文を国内の英文学会誌に投稿し掲載された。また、企業が利潤だけでなく環境汚染の社会への影響をも考慮に入れて生産活動を行う状況を想定し、動学的な寡占競争モデルとして定式化した論文"Corporate Environmentalism in Dynamic Oligopoly"を作成し、さらにこの動学的寡占競争モデルを応用して貿易自由化の効果を検討した論文"Trade and Global Pollution in Dynamic Oligopoly with Corporate Environmentalism"を作成した。これら2本の論文は、ワークショップや学会で発表を行い、修正した後、海外の学術誌にそれぞれ投稿中である。 研究テーマ2.については、名古屋大学経済学研究科の多和田眞教授との共同研究を通じて、公共中間財ストックが私的財の生産性に影響を与える経済における貿易パターンや貿易利益の検討を行った。2つのモデルを分析し、それぞれ論文を完成させた。1つの目の論文は、McMillan(1978, International Economic Review)の理論モデルを再検討したもので、海外の学術誌に投稿し、修正再投稿の返事を得ている。2つ目のモデルは、ワークショップで発表した。 研究テーマ3.については、南山大学経済学部の唐澤幸雄准教授との共同研究を通じて、消費外部性と内生的時間選好を考慮に入れた動学的貿易モデルの分析と、出生率の内生化を考慮に入れた動学的貿易モデルの分析をそれぞれ行い、前者に関しては論文を海外の学術誌に投稿し、後者については論文をワークショップで発表した。
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Research Products
(11 results)