2009 Fiscal Year Annual Research Report
南北間の非対称性が両国の発展経路に与える影響:人口パズルの理論的解明
Project/Area Number |
21730182
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 啓明 Tohoku University, 大学院・経済学研究科, 博士研究員 (70534840)
|
Keywords | 国際貿易 / 半内生的成長 / 不均等発展 |
Research Abstract |
本年度は、2国間貿易と経済発展の関係を規模効果のない半内生的成長モデルを構築して分析し、その成果を研究会で報告じた。このモデルでは、規模に関して収穫一定の農業と、規模に関して収穫逓増の工業がともに存在する2国が貿易を行う。農業では労働のみが生産要素として投入され、工業では労働と資本が生産要素として投入される。両国は初期時点における資本ストック賦存量のみが異なり、生産技術、消費と貯蓄のパターンは同一である。このような2国が自由貿易を行うと、工業製品に対する支出割合の大きさに応じて、2つのケースが得られる。ケース1:工業製品に対する支出割合が1/2以下のとき、長期的には、先発国は不完全特化し、後発国は農業に漸近的に完全特化する。ケース2:支出割合が1/2より大きいとき、長期的には、先発国は工業に完全特化し、後発国は農業に漸近的に完全特化する。ここで、先発国と後発国の違いは、初期時点における資本ストック賦存量のみに反映される。 長期均衡において、両国の1人当たり実質所得成長率は等しくなる。また、両国の1人当たり実質消費成長率も等しくなる。このように、成長率で測ると、両国の間に不均等発展は生じない。しかし、1人当たり実質所得水準と1人当たり実質消費水準は、それぞれ両国で大きく異なる。具体的には、ケース1とケース2の双方で、先発国と後発国の1人当たり所得水準はある一定値まで拡大していく。つまり、所得水準で測ると、両国の間に不均等発展が生じる。これに対して、消費水準で測ると、ケース1では不均等発展が生じず、両国の1人当たり実質消費は均等化する。しかし、ケース2では、消費水準で測っても不均等発展が生じ、両国の1人当たり実質消費水準はある一定値まで拡大していく。
|