2009 Fiscal Year Annual Research Report
パテントプールにおける利得配分問題:提携形成、研究開発投資、効率性
Project/Area Number |
21730183
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邊 直樹 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (20378954)
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Keywords | 経済理論 / 経済政策 / 経済実験 / ゲーム理論 / 提携形成 |
Research Abstract |
平成21年度の研究は専ら基礎研究に費やされ、特許ゲームに関する予備実験を行った。実験設備の拡充も進め、専門誌への投稿に堪える実験を行うことが出来る環境を整備した。その間、特許ゲームに関する論文(Kishimoto/Watanabe/Muto 2009)を改訂し、査読付国際専門誌に投稿した。 最近は、特許技術の売買がオークションによって行われるという事例が少しずつ増えており、その制度設計の指針とするべく、下請入札という種別のオークションの実験も行った。これは、公共工事入札を模した理論設定ではあるが、幾つかの特許技術が纏まってオークションにかけられる時、その纏められた特許技術の特許権者の間でどのような利得配分がなされているかについてのデータを採取することができず、適切な制度設計が困難であるという特徴を反映している。この実験で明らかになったのは、政府調達の応札者が行う下請入札においては、第1価格入札の方が第2価格入札よりも社会的厚生が高いことである。今後の追試や実験内容の拡充を通じて、このことをより深く掘り下げ、また、パテントプールに関する制度設計についても政策的含意を見出せるような実験を今後行っていく予定である。後者については、投票による利得配分に関する実験を行い、その交渉解がシャプレー値と仁の近辺に集中することを確認した。現在、これら2つの交渉解に行き着く要因を明らかにすべく、データ解析中である。来年度には、このデータ解析の結果を基に、パテントプールの理論モデルの構築にも取り組む。以上の研究成果は研究代表者のwebpageでも公開されている。 http://infoshako.sk.tsukuba.ac.jp/~naoki50/index_j.html
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Research Products
(3 results)