2010 Fiscal Year Annual Research Report
パテントプールにおける利得配分問題:提携形成、研究開発投資、効率性
Project/Area Number |
21730183
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邊 直樹 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 准教授 (20378954)
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Keywords | 経済理論 / 経済政策 / 経済実験 / ゲーム理論 / 提携形成 |
Research Abstract |
パテントプールにおける利得配分問題の前段階として、昨年度までは特許ライセンスゲームにおける交渉解の性質について考察してきた。特に、交渉集合や最小コアなどの漸近的性質に関する成果は査読付き国際専門誌であるMathematical Social Sciencesから刊行された。その結果は産業における企業数が多くなると、交渉によって妥結しうる特許使用料は一点に収束し、非協力ゲームから得られた結果と同値になるというものである。つまり、企業数が多い時には、ライセンス方法がどのようなものであれ、特許技術の価値は非常に頑健な値として算出されうることが判った。現在、他の交渉解についても引き続き検討を行っている。これら一連の研究は新技術の価格付けに堅固な理論的基礎を定めることを目的としている。それがより正確に定まれば、企業などの研究開発の対価に関する予想がより正確になり、社会的にも効率的な研究開発投資を促進することに繋がる。 交渉を通じた特許技術のライセンスとは別に、最近は、オークションによる新技術の売買市場が各国で整備されるようになってきた。そこで、下請構造を持つオークションにおける下請業者の入札行動や効率的資源配分に関する洞察を深めるため、被験者実験も行った。また、パテントプールのような集団的意思決定における利得配分を考察するため、投票による利得の決定問題に関する被験者実験も行った。これらの成果は、Tsukuba Economics working Papersとして纏めた。(次のURL参照)http://infoshako.sk.tsukuba.ac.jp/~naoki50/index_j.html
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Research Products
(6 results)