2010 Fiscal Year Annual Research Report
要素賦存と生産パターン,賃金格差:ヘクシャー=オリーン・モデルによる分析
Project/Area Number |
21730187
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
清田 耕造 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 准教授 (10306863)
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Keywords | 要素賦存と生産パターン / 賃金格差 / ヘクシャー=オリーン・モデル / 要素価格均等化 |
Research Abstract |
本研究は,要素賦存と生産パターンの関係をヘクシャー=オリーン・モデルにもとづき明らかにしようと試みるものである.研究の目的は,先行研究で残されているパズルー要素価格均等化の成り立つ領域(コーン)が世界にふたつしかないという観測事実のもとで,各国間の要素価格を説明することができない一を理論・実証的に明らかにすることにある. 平成22年度の成果は大きく三つにまとめられる.第一に,昨年度に構築したデータベースをもとに,"Paths of Development and Wage Variations"という論文としてまとめたことである.この論文では,不完全特化を導入することで,各地域間の生産パターンと要素価格の変動をヘクシャー=オリーン・モデルの枠組みである程度説明できることを明らかにした.この論分は,匿名のレフェリー(審査員)による審査を経て,Review of International Economicsという国際的な学術雑誌(査読付)に掲載されることが決定した. 第二に,不完全特化を導入しないモデルについても分析を行い,その成果を"The'Flying Geese' Patterns of Industrial Development"という論文としてまとめたことである.不完全特化を導入しないモデルが雁行形態的経済発展のパターンと整合的であることを示し,ヘクシャー=オリーン・モデルと雁行経済発展の関係について分析した.この論文は,国内外での学会報告と改訂作業を経て,現在は国際的な学術雑誌(査読付)に投稿中である. そして第三に,コーンが複数ある状況の貿易政策の効果についても理論的に考察し,その成果を"Trade Liberalization, Economic Growth, and Income Distribution in A Multiple-cone Neoclassical Growth Moder"としてまとめたことでる.この論文では,コーンが複数ある状況では,保護的な貿易政策によって所得の増加と所得不平等の緩和につながりうることを明らかにしている.この論文についても,改訂作業を経て,現在は国際的な学術雑誌(査読付)に投稿中である.
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