Research Abstract |
本研究は,要素賦存と生産パターンの関係をヘクシャー=オリーン・モデルにもとづき明らかにしようと試みたものである.研究の目的は,先行研究で残されているパズル-要素価格均等化の成り立つ領域(コーン)が世界にふたつしかないという観測事実のもとで,各国・地域間の要素価格を説明することができない-を理論・実証的に明らかにすることにある. 平成23年度の研究成果は大きく二つにまとめられる.第一に,一昨年に構築したデータベースをもとに,"A Mary-cone World?"という論文をまとめたことである.この論文では,不完全特化を導入しないモデルにもとづき,各地域間の生産パターンと要素価格の関係をヘクシャー=オリーン・モデルの枠組みtである程度説明できることを明らかにした.この論文は,匿名のレフェリー(審査員)による審査を経て,Journal of International Economicsという国際的な学術雑誌(単著,査読付)に掲載された. そして第二に,コーンが複数ある状況の貿易政策の効果についても理論的に考察し,その成果を"Trade Liberralization, Economic Growth, and Income Distribution in A Multiple-cone Neoclassical Growth Model"としてまとめたことである.この論文では,コーンが複数ある状況では,保護的な貿易政策によって所得の増加と所得不平等の緩和につながりうることを明らかにしている.この論文は,匿名のレフェリー(審査員)による審査を経て,Oxford Economic Papersという国際的な学術雑誌(単著,査読付き)に掲載されることが決定した. また,これらに付随する研究として,比較優位にもとづく貿易パターンが実際に成立しているかどうかを日本の歴史的データをもとに,実証的に分析した.この研究は"A Test of the Law of Comparative 'Advantage, Revisited"という論文としてまとめることができた.この論文は,匿名のレフェリー(審査員)による審査を経て,Review of World Economics (Weltwirtschaftliches Archiv)という国際的な学術雑誌(単著,査読付き)に掲載された.
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