2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730188
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
斎藤 裕美 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (60447597)
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Keywords | 医療経済学 / イノベーション / リスク学 / コンジョイント分析 / 経済政策 |
Research Abstract |
本研究の目的は、医療技術の進歩に対するアクセスをいかに担保すべきかについて、「リスク」と「費用負担」の観点から経済学的に研究するというものである。 それに伴い、21年度は本研究の土台作りとして、文献調査に基づくレビューを徹底して行った。特に焦点を当てたのは、(1)新医療技術をめぐる現状と問題点、(2)画期的であるとして期待されている新医療技術の具体的な調査、(3)分析手法、である。 (1)に関しては、新医療技術をめぐる需要側の視点と供給側の視点、両方に目配りし、新医療技術を利用する側に対する規制のほか、新医療技術を生み出す研究開発側に対する規制についてもサーベイした。これによって具体的なアンケート調査票の作成に必要な項目が明らかになった。 (2)に関しては、海外における臨床研究の情報などをもとに、新医療技術をめぐり、どのような研究開発が、どの段階まで進んでいるのか、またどのような成果が期待できるのかについて明らかにした。 (3)に関しては、医療経済学の論文を大量にレビューすることを通じて、当初見込んでいなかったコンジョイント分析が、本研究に有効であることがわかった。 本研究の意義の一つは、新医療技術利用に係る制度設計を行ううえでのエビデンスを定量的なデータの形で提供するという点である。それに加えて、21年度の研究によってコンジョイント分析という比較的新しい方法を導入することで、萌芽期にあるリスク学の領域に新しい地平を与えるという意義も見いだした。 本研究の重要性は、これまで新薬・新技術の利用に関して、データの積み上げに基づく議論が不足してきた現状に鑑み、国民のみならず、医療供給者および行政側の立場も踏まえた医療技術利用に係る建設的な制度設計を行ううえでの、客観的なエビデンスに基づいた議論の土台を提供する点にある。
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