2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730190
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
唐渡 広志 富山大学, 経済学部, 准教授 (00345555)
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Keywords | 集積の経済 / 土地利用変化 / 都市交通 / 容積率規制 |
Research Abstract |
本研究の目的は,多様な企業間の相互依存関係と対面接触に要する交通の時間的費用の観点から,マイクロ・データに基づいて都市集積のメカニズムを明らかにすることである.21年度は交通の時間費用を計測するために交通流の空間ネットワークモデルを推定した.22年度は企業集積・分散の過程をみるために,オフィスビルの再開発,用途変更がどのようなタイミングと確率で起きるのかを計量経済分析によって実証した.都市集積というマクロな効果を分析するには,多様な企業間の相互依存関係というミクロな事象を理解する必要がある.大都市に立地する企業の生産性の指標としての不動産価格も,大規模なマクロ変動の中での不動産市場におけるマイクロ構造を明らかにすることによって意味をもつ.そのため,先行研究を改善して,事業所用途建物のGISポリゴンデータを3時点でパネル化し,ランダムエフェクトプロビットモデルによって再開発確率を推定した.90年代における事務所賃貸料の高騰と下落は,都心部よりも集積効果の弱い周辺部の空室率を高め,収益性を悪化させていた.その背景にはバブル期において,強い期待だけに基づく住宅用途から事業所用途への積極的な転換が図られたことが,一つの要因になっている.実際には企業間の相互依存関係による集積効果は,そのような地域で観察できず,開発の失敗を調整するように,更なる土地利用転換が図られたものと予想できる.逆に高度利用地区や再開発等促進区の適用区域となり容積率規制が緩和された地区では,対照的に生産性が改善し,高い収益を維持していたことが予想される.
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