2009 Fiscal Year Annual Research Report
技術投資・企業間格差・垂直取引を考慮した市場競争と社会厚生に関する研究
Project/Area Number |
21730193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松島 法明 Osaka University, 社会経済研究所, 准教授 (80334879)
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Keywords | 垂直取引 / 技術投資 / 水平統合 / 企業間格差 / 垂直分離 / 垂直統合 |
Research Abstract |
企業の非対称性と技術投資を考慮した寡占理論モデルを幾つか構築した。Matsushima et al.(2009, ISER Discussion Paper(以下DP)No.754)では、企業参入と既存企業間の合併を考慮した理論モデルを構築し、非対称な企業が技術投資を行う状況における合併の効果を分析し、社会厚生上望ましい(望ましくない)合併が起こる状況を明らかにした。Matsumura and Matsushima(2009, ISER DP No.742)では、企業の非対称性と製品差別化と技術投資を考慮した複占理論モデルを構築し、技術投資の程度とその厚生上の効果について分析した。弱小企業の方がニッチな製品を作る事を明らかにした。また、投資に関する規模の経済性にもかかわらず、弱小企業が支配的企業よりも投資を熱心に行う可能性がある事を示した。この弱小企業の技術改善が社会厚生上は望ましくない可能性があることも明らかにした。 垂直取引を考慮した理論モデルを構築した。Matsushima and Mizuno(2009, ISER DP No.755)では、強力なサプライヤーに対抗する手段として川下企業は垂直分離を行う事を理論モデルにより明らかにした。Matsushima and Mizuno(2010, ISER DP No.770)では、理論モデルを用いて、川下企業間の格差や川下の水平統合が垂直分離の誘因にどの様な影響を与えるか分析した。その結果、格差が小さい場合、垂直分離の形態に関する戦略補完関係の存在を明らかにした。格差が大きい場合、効率企業の方が垂直統合を行う傾向にあることを明らかにした。また、川下企業の水平統合によって垂直分離が起こりやすくなる事を示した。製造業でしばしば見られる水平合併に伴なう中間財部門の分離(垂直分離)と整合性がある。
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Research Products
(4 results)