2010 Fiscal Year Annual Research Report
技術投資・企業間格差・垂直取引を考慮した市場競争と社会厚生に関する研究
Project/Area Number |
21730193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松島 法明 大阪大学, 社会経済研究所, 准教授 (80334879)
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Keywords | 技術投資 / 製品差別化 / 企業間格差 / ホテリングモデル |
Research Abstract |
技術投資や企業間格差を考慮した企業間競争について理論分析を行った。今年度中に公刊が決まった論文ならびに公刊された論文の中から幾つか紹介する。B.E.Journalに公刊された論文では、費用削減投資の誘因について分析している。多くの先行研究では、投資に規模の経済性が存在する場合、事前の効率性が高い企業(市場占有率の高い企業)の方が投資を熱心に行うことを示している。しかし、現実には、市場占有率の低い企業でも投資を熱心に行っている。この論文では、企業の製品特性を内生化することで、通常の直観が成り立たない可能性を示している。言い換えると、市場占有率が低い企業の方が投資を熱心に行う可能性があることを示している。Journal of Industrial Economicsに公刊される論文では、新規参入企業の存在が現存企業の費用削減投資や収益性に与える影響を、数量競争モデルを用いて分析している。事前の限界費用が低い企業の費用削減投資への誘因は、新規参入によって刺激される可能性があり、この投資刺激効果が強く働く場合には、新規参入によって当該企業の利益が増えることを明らかにした。 Games and Economic Behaviorに公刊される論文では、先行研究による製品特性の同質化への説明を再考している。これら研究では、Hotellingによる製品差別化モデルを用いて、価格設定における結託が存在する場合、各企業は同じような製品特性を選択する(言い換えると、企業は同じ場所に集積する)ことを示している。これに対して、本論文では、企業の限界費用が異なる状況を設定し、同じ問題を分析した。 その結果、僅かな費用格差があるだけで、これら研究の結果が成立しない事が明らかになった。
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Research Products
(8 results)