2011 Fiscal Year Annual Research Report
技術投資・企業間格差・垂直取引を考慮した市場競争と社会厚生に関する研究
Project/Area Number |
21730193
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松島 法明 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (80334879)
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Keywords | 産業組織 / 技術投資 / 製品差別化 / 企業間格差 / ホテリングモデル / 垂直取引 |
Research Abstract |
技術投資・企業間格差・垂直取引を考慮した企業間競争につい理論分析を行った。今年度、公刊が決まった論文ならびに公刊された論文の中から幾つか紹介する。Economics Lettersに掲載される論文では、Joumal of Regional Scienceに掲載予定の論文を拡張した。製品の規格化や標準化などによって企業の製品特性に一定の制限を課すことで、企業による技術投資にどの様な影響があるか分析した。その結果、規格化などの制限を課さないと企業の投資に対する誘因は社会厚生上過大になるが、規制を課すと投資が社会厚生上過少になることを明らかにした。この結果は、技術投資への補助金などを行う際に、製品特性の規制なども考慮する必要があること示唆している。Journal of the Japanese and International Economiesに掲載された論文では、最終生産物を作る企業(例えば、自動車会社)に対して投入物を供給する企業(例えば、部品会社)に着目して、この投入物供給企業を取り巻く競争環境の変化が各企業に与える影響を分析した。最終生産物を作る企業が費用削減投資を行う場合には、この投入物供給企業間の競争が促進されることで費用削減投資を促して、その投資促進効果が強く働く場合には、この投入物企業間の競争が投入物生産企業の利益になることを明らかにしている。これは、競争が企業にも利益となる可能性を示した興味深い結果である。Journal of Institutional and Theoretical Economicsに掲載予定の論文では、公企業と私企業が競合する市場における民営化の問題を扱い、公企業の提供するサービスに満足しない消費者群が一定割合以上存在し、民間の参入が一定以上ある場合には民営化によって厚生改善することを明らかにした。
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Research Products
(6 results)