2012 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国農村部における信用事業の展開と地域経済の変容
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21730196
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Research Institution | Gunma Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
布田 朝子 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (40533815)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 貧困削減 / 開発経済学 / マイクロファイナンス / 国際協力 / ミャンマー / 農村開発 / 農村経済 / 開発研究 |
Research Abstract |
今年度に取り組んだ作業は、主に以下の3点である。第1に、当初の計画通り、ミャンマーで現地調査を実施した。主にヤンゴン市とその近郊で現地調査活動を行った。その際、国連開発計画(UNDP)ミャンマー事務所や関連する部署を訪れて、担当者へ詳しいインタビュー調査を実施することができた。特に、本研究の研究対象となるマイクロファイナンスプロジェクトや総合的コミュニティ開発プロジェクト(ICDP)について最新情報の入手や事実確認を実施できたことが有益であった。また、激変する国内経済環境の実態把握のため市場関係者や農業関係者からの情報収集も実施した。 第2に、本研究に関連するミャンマー事情や開発経済学に関する最新の文献資料をそろえつつそれらを丹念に読み込む作業を行った。また、平成24年度および25年度の研究活動を円滑に実施できるようにするために、農村調査用の査証取得手続き等について確認するために、現地の知人(農業灌漑省農業研究局職員)等を通じて最新の情報収集に努めた。 第3に、英語で論文を執筆して発表した。その際、平成24年度の現地調査で入手した最新情報を踏まえつつ、平成21年度までに現地で収集したデータの分析と執筆作業を行った。そのほかにも、平成25年度にはさらなる分析を進めて学術論文を仕上げることを目指しているため、平成21年度8月実施の現地調査で入手したデータ、およびそれ以前の平成19、20年度に既に入手していたデータを利用して、分析作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究経過は、当初の計画通り進めることができているものの一部でやや遅れている部分もあるため、達成度として「(2)おおむね順調に進展している」という評価とした。 具体的には、まず、おおむね当初の研究計画通りに専門書を読み込んだり現地で本研究に有益な最新かつ詳細な情報が収集できたりしている。その結果、2010年度には、研究初年度である2009年度の現地調査で入手した詳細な家計調査データを用いて書籍を出版した。2012年度には、そのデータに加えて直近の現地調査で入手した最新情報を踏まえながら研究成果を英語論文として発表することができた。また、それらの分析に使用したデータは全て、関係者への直接のインタビューを通して筆者自らが現地語のビルマ語で丹念に収集した貴重な情報である。 ただし、ミャンマーの村落に入っての家計調査の実施については、2010年度以降、その実施が当初の計画よりも困難な環境となっている。新憲法の発布や法律の改正などに代表されるようにミャンマー国内の政治環境の劇的な変化に伴い、調査に必要な査証などを出す担当者(関連省庁の大臣)が交代した結果、外国人研究者による農村調査活動が許可されにくくなったためである。しかし、本研究の申請時からこのような事態は想定されており、筆者はすでに2009年度には詳しい家計調査を実施済みであり、それ以前に収集した家計調査データもある。そのうえ、昨年度の現地調査のように信用事業に関わる家計以外の様々な関係者への詳しいインタビューやデータ収集は十分に可能である。したがって、それらの情報データから、本研究の目的である信用事業の導入・展開がもたらす変化とその背景メカニズムについて分析することができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間はあと一年であるため、今後一年間は以下の方策で進める予定である。第1に、研究成果を発表する作業に大きな力を注いでいく予定である。研究初年度の現地調査で入手した詳細な家計調査データと、昨年度の現地調査で入手した最新情報を用いつつ、さらに他のデータも踏まえながら整理・加工して分析を行い、分析結果をひとつの研究成果としてまとめたい。昨年度同様、英語で発表する予定である。 第2に、ミャンマーでの現地調査をさらに重ねて、関係する統計データの収集や関係各者への聴き取りを行う予定である。また、必要に応じて関連する国際機関などで最新の資料収集や事実確認、意見交換を行う予定である。最新の情報収集のために特に重要となるミャンマーでの現地調査では、まず、ヤンゴン市内で国連開発計画ミャンマーのヤンゴン事務所やマイクロファイナンスを実施している国際NGOのヤンゴン事務所などにおいて、担当者から最新情報の入手や事実確認などを行う。昨年度にひきつづき実施することで、担当者へのアポイントメントも取りやすくなり、かなり詳細な情報を入手することができよう。また、首都ネーピードーでは農業省の職員などから、農村を取り巻く法制度や経済情勢を中心に最新かつ全般的な国内情報を入手する。さらに、村落部では国連開発計画のタウンシップオフィスの担当者、国際NGOのフィールドオフィスやブランチオフィスの担当者から、最新かつ詳細な情報を入手したり意見交換をしたりする。そのほかにも、現地の情勢を踏まえながら可能な限り、関係する金融機関や市場関係者への聴き取りを実施する。 以上の研究活動を通して、当初の研究目的と計画に沿った研究成果を出すことができると考えている。
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Research Products
(1 results)