2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730199
|
Research Institution | Chiba Keizai University |
Principal Investigator |
太田 塁 千葉経済大学, 経済学部・経済学科, 准教授 (00338229)
|
Keywords | 衰退産業 / 価格競争 / 寡占市場 |
Research Abstract |
1 衰退産業に関する経済分析の既存研究を整理し、その上で本研究を含む最新の成果を紹介する論文を出版した(「衰退産業の経済分析」、千葉経済論叢、第43巻、2010年12月)。当論文は日本語で書かれており、本研究の意義や重要性を広く一般の方にも伝えることができると思う。 2 複占の衰退産業における価格競争モデルを構築し、価格動学を分析した論文が査読付き学術雑誌に掲載された("Dynamic Pricing with Declining Demand:The Case of Duopoly,"Review of Development Economics,15-1,78-92,2011)。また、これとは別に、衰退産業における数量競争モデルを構築し、価格変化を分析した("The"Law of Rising Price"in an lmperfectly Competitive Declining lndustry")。この論文では需要が衰退するにつれて価格が上昇すること、また、この結論が日本の木製テーブル市場において実証的に支持されることを示した。衰退産業における価格変化は解明されていない点が多く、複数のモデルを提示できたことは大変意義深い。 3 衰退産業の研究において退出戦略の分析は長くその中心にあるが、退出の決め手は企業の規模(資本の大きさ)の違いにあると考える論文が多い。しかし国際貿易論ではよく知られているが、行動を決定するのは絶対的な違い(絶対優位)ではなく、比較優位にある。そこで企業が持つ技術に関する比較優位から退出戦略を考えるという、新しい視点を発見し論文執筆に着手した。これは当初の研究計画時には気が付かなかった点であるが、衰退産業の分析を深化させる上で有益な研究になると考えている。
|
Research Products
(6 results)