2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730199
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Research Institution | Chiba Keizai University |
Principal Investigator |
太田 塁 千葉経済大学, 経済学部・経済学科, 准教授 (00338229)
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Keywords | 衰退産業 / 価格付け / 自由参入 / ダンピング / 寡占市場 |
Research Abstract |
衰退産業における価格付けの問題は、当初の研究計画時には気付かなかった様々な研究課題を含んでいた。2011年度はこれらの課題に取り組み、特に需要が衰退するにつれ、価格が上昇する現象を説明するモデルが複数あることを示した。 1.現代社会では、新製品が頻繁に開発され、旧製品に取って代わる。このような状況のもとで、旧製品も新製品も製造・販売する会社はそれぞれの製品にどのような価格付けをするのだろうか。論文"Pricing an existed product when a firm produces new substitutable goods simultaneously"(共著、未刊行)は2期間・独占モデルを構築し、旧製品は1期間目に安価で売り、2期間目は高価で売ることを示した。既存研究と異なり、本研究では新製品の価値を内生変数としても旧製品の価格が上昇することを示した。つまり、旧製品の価格上昇は需要の衰退が重要な原動力であり、衰退の理由(外生的か内生的か)は関係無いことが分かった。 2.需要が衰退するにつれて価格が上昇することは、企業の自由参入・退出を許した場合でも起こる。論文"The law of rising price in a declining industry"(共著、未刊行)では理論分析とともに実証分析を行っている。当該年度はり構造的な要素を加味した実証方法の開発に取り組んだ。さらに改善すべき点が残っているが、構造的な実証分析を通じて、開発した理論の説明力を高められると期待している。 3.財の需要衰退は新製品の開発だけでなく、海外からの安価な財の輸入によっても発生する。この場合でも衰退する国内品の価格が上昇し、消費者余剰が減少することを論文"Discrete Demand Shift Dumping"(共著、未刊行)で示した。一般に、安価な財の輸入を規制するダンピング提訴は国内生産者を保護するものであり、消費者にとっては安価な財の入手を阻害するものと考えられてきた。しかし本研究は、ダンピング提訴は国内価格の上昇と消費者余剰の減少を防ぐ、消費者にも利のある政策であることを示した。
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Research Products
(2 results)