2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730200
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石橋 郁雄 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 准教授 (30365035)
|
Keywords | 経済理論 / 経済政策 |
Research Abstract |
平成22年度は主として,昨年度に作成した,現実の談合メカニズムの構造を経済理論上及び実証研究上重要な項目に基づいて分類したデータベースを用いて経済学的分析を行った.その上で,成果を論文にまとめ,国際的にも定評のある学術雑誌であるJapan and the World Economy誌に投稿し,受理され,掲載が決定した. 学術論文にまとめた研究成果の概略は次のようなものである,まず,データベースから観察される幾つかの興味深い発見を相互に関連づけるために,ある種の指標を作成し,それに基づいて談合メカニズムの全体的な傾向を明らかにした.次に,このように導出された傾向から一歩踏み込んで,日本の(摘発済みの)談合で実際に使用されているメカニズムについて,談合参加企業間の効率性よりも公平性が重視されている可能性が高いことを主張した.最後に,理論研究及び実証研究との関連から今後より注目していくべき要素について議論を展開した. 摘発済みの案件のみを対象としたデータベースではあるが,個別事例ではなく複数の事例を対象として談合メカニズムの傾向を分析することは,競争政策のより効果的な設計や効果の測定のためには不可欠のものである.本研究の意義は,その分析の雛形の一つを提示したことにある.今後はこれを更に改良したり,別の視点からの雛形を作成することが重要になってくるだろう. 効果的に入札談合を防止・摘発することは,限りある経済資源の有効利用のためにも重要なことである.本研究の成果が,現実の談合メカニズムの構造の解明に貢献することを通じて,最終的にはこのような防止・摘発につながるよう,来年度も学術論文としてまとめた部分を補完する形で研究を深めていく予定である.
|