2009 Fiscal Year Annual Research Report
公的医療保険における医療費リスクに関するミクロ計量経済分析
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21730202
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
川瀬 晃弘 Toyo University, 経済学部, 准教授 (10453854)
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Keywords | 医療保険 / 医療費リスク / 計量経済分析 |
Research Abstract |
平成21年度においては、1本の学術論文、1冊の著書の出版が研究成果となった。「Long-term Care Insurance Facilities and Interregional Migration of the Elderly in Japan」(共著)では、介護保険施設への入所を求めて高齢者が移住する介護移住の問題を扱い、都市部を中心に介護移住が起きていることを明らかにした。この論文は、査読付き学術誌Economics Bulletinに掲載された。日本では社会的入院の解消を目的のひとつとして介護保険制度が導入されたように、医療と介護は密接に関連している。こうした背景を踏まえながら、医療保険のみならず介護保険についても同時に分析を進める必要があるだろう。『日本の医療保険制度と財政問題』では、日本の医療保険制度の現状および変遷を解説し、レセプトデータを用いた医療費の分布の計測やOECD諸国における医療費予測モデルを構築し分析を行った。今後は多くの国で医療費が増大することが予測され、医療費の発生をどのように抑えるかとともに増大する医療費をどのように賄っていくのかを考えるべき時であるといえよう。この著書は三菱経済研究所より刊行された。本年度は当初の計画の通り、理論的分析の準備作業および実証分析に用いるデータの整備・構築が主たる作業となったが、次年度以降もこうした研究を遂行し、学会報告および学術雑誌への投稿に向けた準備を進めたい。
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