2011 Fiscal Year Annual Research Report
企業間の技術の伝播と企業の国際的な立地戦略に関する研究
Project/Area Number |
21730204
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松原 聖 日本大学, 商学部, 准教授 (40336699)
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Keywords | 海外直接投資(FDI) / FDIのスピルオーバー / スピルオーバー阻止の投資関数 / 市場構造 / 製品差別化 / 先進国と新興国 / 製品品質の費用 |
Research Abstract |
論文"Endogenous FDI Spillover swith Spillover-Prevention Costs" 本研究は海外直接投資(FDI)において、FDIホスト国企業へのスピルオーバーを阻止するための2次の投資関数の仮定の下で、以下の3点を明らかにした。概ね「研究の目的」、「研究実施計画」に沿った結果が得られた。 1.1自国・1外国企業の複占モデルにおいて技術の伝播が内生化されると、技術の伝播阻止の費用(のパラメータ)が極端に高くない限り、自国企業の選択肢が広がる効果から、貿易費用の閾値が下がることにより、FDIがより起こりやすくなる。 2.FDIホスト国の市場が大きくなると、貿易費用の閾値が下がることにより、FDIがより起こりやすくなる。一方自国企業が全く投資をしない場合の技術の伝播の水準が高くなると、貿易費用の閾値が上がることにより、FDIはより起こりにくくなる。 3.モデルを寡占に拡張しても、結果(1)は変わらない。ただし自国企業数は貿易費用の閾値に影響しないのに対し、外国企業数は閾値に影響し、その効果は単調ではない。 論文"Product Quality in Different Markets and Cost Structure" 本研究は製品差別化の下でのFDIホスト国企業へのスピルオーバーに関する研究を進める上で、FDIホスト国だけでなくFDIソース国の市場を考える中から派生したものである。日本企業にとって、新興国市場と同時に先進国、特に自国市場の存在をどのように考慮して最適な製品の品質の配分を行うかが本研究の主要課題であり、国内外での学会・研究会での報告を通じて論文の改定に努めている。
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