2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業の国際知的財産取引・M&A活動と各国国内制度の相違の波及効果の実証分析
Project/Area Number |
21730205
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
武智 一貴 法政大学, 経済学部, 准教授 (80386341)
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Keywords | 研究開発 / M&A / 知的財産取引 / 海外直接投資 / 市場制度 / 企業組織 / 輸送費 |
Research Abstract |
本年は、主たる研究目的である様々な取引パターンと知的財産、研究開発の分析を行い、海外学術雑誌に採択された。まず、日本企業における海外進出のパターンについて、これまで考慮されてこなかった企業の動学的な意思決定に注目し、直接投資による学習や、学習効果のスピルオーバーについて検証し、特に日本企業のアジア進出にそれらの要因が影響を与えている点を明らかにした。また、研究開発とそれらにより生み出された知的資産の取引の関係を分析する為に、研究開発とM&Aに焦点を当て研究を行った。特に、M&A市場の自由化以前に着目し、国内M&Aについては自社開発資産の代替としてM&Aが行われ、それに対して海外M&Aについては海外市場における競争や補完資産の獲得を目的として行われている違いを明らかにした。 また、制度と貿易の関連については、各国国内制度の質や性質に関するデータを収集し、それらが国際取引にいかなる影響を与えるか実証的に検証した。特に、制度の質が十分に高い国同士において、制度を均一化させるハーモナイゼーションが有効である事を確認した。また、財貿易よりも、直接投資といったより国内制度に深くかかわる取引が制度と密接な関係があり、制度の質の向上がそれらの取引を活性化させる点を示した。 経済制度、社会制度のみならず、企業組織の違いについても分析を行った。企業ごとに流通経路や生産工程が異なっており、それらが市場参入に与える影響を検証した。市場参入は競争状態を確保する基本要因であり、本研究では大型流通経路と資本関係にある企業が参入をより行う傾向にある事が示され、企業組織の違いが市場競争に与える影響を明らかにした。また、取引の基本要因である輸送費についても研究を行い、これまでの研究では分析されてこなかった識別問題に着目し、物理的距離の影響が取引に大きく影響している点を明らかにした。
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Research Products
(7 results)