2009 Fiscal Year Annual Research Report
大学教授職労働市場における、賃金、昇任及び労働流動性の男女差の研究
Project/Area Number |
21730207
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Research Institution | International University of Japan |
Principal Investigator |
高橋 新吾 International University of Japan, 国際経営学研究科, 講師 (70445899)
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Keywords | 大学教授職 / 男女格差 / ハザードファンクション / セミパラメトリックデュレーション |
Research Abstract |
本研究は、日本の大学教授職労働市場における賃金と昇任の男女差、賃金昇任における男女差の原因となる可能性のある、教授職市場における労働流動性(Labor Mobility)の男女差についての実証研究を目的とする。初年度は、私と研究協力者(高橋アナマリア、ユタ大学経済学部、博士課程)が、2008年にアンケート調査によって収集した、経済系学部の約360名の研究者の個票データを使って推定をおこなった。 この一年間で我々は4本の論文を作成した。一本目は、日本の教授職において給与の男女格差があるかどうかである。一般的には、「大学教授職労働市場において、年齢経験その他を考慮した後では、給与に関する男女差は存在し得ない」と考えられているが、我々の結果は、女性教員のほうが男性教員よりも給与が約7%低いというものであった。2本目は、昇任に男女格差があるかどうかである。昇任に関しても、一般的に男女差は存在しないと考えられているが、これに関しては、一般に信じられているように男女は、確認できなかった。3本目は、査読付き論文が、大学教員の給与、昇任及び労働流動性にどの程度影響を与えているかについて考察した。我々の結果によると、査読付き論文は、給与及び昇任には影響を与えないが、労働流動性に強い影響を与える。4本目は、大学教授職における、仕事に関係するストレスの決定要因を研究した。 以上の研究は、国内外の学会で発表されており、一本はすでに学術論文に掲載済み、もう一本は、上リバイズ・リサブミットステータスになっている。其の他2つの論文はすでに学術誌に投稿済みである。
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