2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代企業における流通戦略の理論的分析、及び政策提言の模索
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21730211
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
池田 剛士 大東文化大学, 経済学部, 講師 (60434940)
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Keywords | 第三種価格差別 / チャネル間競争 / 垂直的分離 / 価格-数量競争 |
Research Abstract |
本研究では流通チャネル間競争の下での企業の流通戦略について検討を行ってきた。川上企業が川下企業の株式を取得し、経営に参画する時、垂直的に統合された経営を行う企業よりも高い利潤が得られることが明らかとなった。そのような株式の取得による経営参加は、垂直的関係の無い数量競争におけるシュタッケルベルグ・リーダーの地位と同等の利潤をもたらすことになる。これは主に、川上企業が川下企業の行動をコントロールすることで、囚人のジレンマの状況を回避できることに由来する。また、2社の川上企業が存在する状況では、両企業とも川下企業の株式の取得を行うインセンティブを持つことも明らかにした。 さらに、第三種価格差別における価格の公平感における研究も同時に進めた。第三種価格差別を行うと、価格が低下する市場では需要規模が拡大する一方で、価格が上昇する市場では不公平感から需要規模が縮小することが最近の研究で明らかとなっている。本研究では線形の需要関数の下で、価格差別のお得感から生じる需要規模の拡大効果が、不公平感から生じる需要規模の縮小効果をほんの僅かに上回れば、企業は第三種価格差別を行うことが有利となることが明らかとなった。これは従来の需要の価格弾力性の差に基づく価格差別の理論を補完する結果と言える。また、価格の公平感を考えると、限界費用と限界収入を一致させることが必ずしも企業の利潤最大化をもたらさないということも示唆している。
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Research Products
(1 results)