2009 Fiscal Year Annual Research Report
直接投資タイプに応じた立地選択要因及び国内企業活動への影響に関する研究
Project/Area Number |
21730213
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
早川 和伸 Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization, 日本貿易振興機構アジア経済研究所・新領域研究センター, 研究員 (40458948)
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Keywords | 直接投資 / 多国籍企業 / 立地選択 |
Research Abstract |
本研究は、海外直接投資のタイプ(目的)に応じて、投資国・被投資国経済への影響がどのように異なるかを明らかにすることを目的としている。(i)多国籍企業の立地選択要因、(ii)直接投資が投資国内経済に与える影響、という2つのサブテーマを設定し、研究を進めている。いずれのテーマも、近年少しずつ直接投資のタイプに応じた比較が行われ始めているが、1980年代に提示された二つの伝統的な投資タイプに応じた分析しか行われていない。本研究では、2000年以降に新しく提示された投資タイプも含めた、海外直接投資に関する詳細な検証を行う。初年度にあたる今年度は、「多国籍企業の立地選択要因」を中心に研究を進めた。その結果、多数の投資タイプを対象とした、包括的な検証には様々な困難が存在することが分かった。とくに、伝統的投資タイプ以外も含めたまま、投資先国を選択可能にすると、現地法人間の相互依存関係が複雑化し、実証的検証自体が困難になる、ということは重要な発見である。したがって、本プロジェクトを遂行するうえで、いかにこの「投資タイプと投資先国の内生化問題」に対処するかが課題となる。そこで、続いて、最近のFDI研究をサーベイした結果、Aw and Lee (2008, Journal of International Economics)が参考になることが分かった。彼らの研究では、投資先国を固定しており、当初このことが研究対象の視野を狭めているような印象を与えていた。しかし、投資先国を固定することこそが、伝統的投資タイプ以外も検証対象に含めることを可能にする一つの方法であることが分かった。この発見をもとに、来年度は、伝統的投資タイプにプラットフォーム型投資を加えたまま、どこまで投資先国を内生化できるかを調査する。
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