2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730216
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大橋 忠宏 弘前大学, 人文学部, 准教授 (70312478)
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Keywords | 政策研究 / 航空輸送 |
Research Abstract |
本課題の目的はネットワークレベルで航空旅客市場を扱い,航空輸送の市場特性を十分に検討した上で,航空政策や空港整備の効果を実証的に検討することである. 本年度の実績の第一としては,2005年度の都府県及び北海道4ゾーンの50ゾーン間の純流動等のデータによる国内航空旅客市場の需要/供給関数を3SLSにより分析した成果を学術雑誌『運輸政策研究』へ投稿し,査読意見等を参考にモデルの内生性の検討等を加えたものが掲載された.内生性に関する結果からは,モデル特定化・改善に向けての問題点を踏まえた上で,供給側の輸送密度の経済性についてはその存在が統計的に有意な結果として確認され,航空旅客市場を分析する上で当該経済性を考慮することの重要性が示された.限界費用関数で考慮される羽田や伊丹/関空,新千歳など主要空港ダミー変数の係数は正の場合が多く,主要空港は相対的な空港使用料の高さや混雑などが反映された結果である可能性を指摘した.実績の第二としては,データ期間を2000年度のものへ拡張し,規制緩和直後の2000年度と2005年度の結果を比較することで,航空旅客市場の規制緩和がそれぞれの都市ペア市場の社会的厚生にどのような影響を与えたかについて分析を行い,成果を応用地域学会で口頭発表し,学術雑誌『弘前大学経済研究』へ投稿,査読を経て掲載された.分析から,2000年に国内航空旅客市場の規制緩和以降,参入等の競争促進が行われた地域間では社会的余剰が増加する一方で,路線撤退等が行われた地域間では社会的余剰が減少するなど,地域に一様に規制緩和の影響が及ぶわけではないことが定量的に指摘できた.
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