2009 Fiscal Year Annual Research Report
動的心理―空間経済モデルに基づく被災観光地の需要回復施策の理論・実証研究
Project/Area Number |
21730223
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Research Institution | Institution for Transport Policy Studies |
Principal Investigator |
奥山 忠裕 Institution for Transport Policy Studies, 運輸政策研究所, 研究員 (20422587)
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Keywords | 経済政策 / シミュレーョン / 観光政策 |
Research Abstract |
本研究は,実証分析を通し,災害からの観光需要回復のための有効な施策の検証を行うものである。そのためには,災害リスクに関する観光客の心理と行動モデルを考察し,その関係を経済モデルの体系の中に位置付ける必要がある。本年度は観光活動とリスク認知の関連性の定式化を焦点にあてた研究を行った。 観光活動とリスク認知の関連性をモデル化する上で重要な点として次の二点に関する調査・研究を行った。第一に,ある個人の観光活動を想定した場合,一箇所のみの観光地を選択するようなケースは少ないことから,複数の観光地を想定し,災害による観光需要の代替性の影響を計測可能なモデルの構築について検討した。この点について,近年,レクリエーション行動の分析に用いられ始めたKuhn-Tucker Modelを用い,観光活動ならびに観光行動と関連性の深い景観鑑賞行動をも想定した代替的な空間に対する行動を想定した需要分析モデルを構築した。このモデルを用いることで,複数の地域を想定した観光活動の需要分析ならびに政策評価に必要な便益分析を行うための基本モデルが構築された。この結果は学術論文として公表されている。 次に,観光行動とリスク認知の関連性の分析のための調査を行った。調査では,地震が発生した場合,利用者が中断したレクリエーション活動がいつ始まるのか,また,災害から利用者を保護するようなレクリエーション活動に対する防災事業を行う場合,どの程度の支払意志額を有するのかについての質問を行った。この調査から,利用者が有する地震に対する潜在的な危機回避度が計測され,動学モデルによるシミュレーションを行うためのパラメータの値が得られることになると考えている。この調査に関する分析は現在実行中であり,来年度の学会等での報告を予定している。
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