2009 Fiscal Year Annual Research Report
環境負荷を考慮した複数の都市間交通機関の社会的生産効率性の国際比較分析
Project/Area Number |
21730224
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
吉田 雄一朗 National Graduate Institute for Policy Studies, 政策研究科, 准教授 (70339919)
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Keywords | 経済政策 / 社会的効率性 / 交通機関選択 / 環境外部性 |
Research Abstract |
本年度は従来より研究を進めてきた論文「Dynamic and static productivity measurements of Japanese airlines : can they really compete through the liberalization in Asian aviation industry?」を査読付き学術誌に公表した。この研究は1980年以降の日本における航空自由化が、日本の国内航空3社(JAL, JAS, ANA)の費用効率性にどのように影響を与えたかを動学的に分析したものである。この論文はJALの優位性とJASの非効率性を定量的に明らかにすることで、これら2社が合併してできた現在のJALが直面する困難な状況の遠因をに一定の実証的根拠を与えている。 近年、気候変動への危惧の高まりを受けて、交通の分野においても環境負荷の実証的、理論的分析の必要性が増している。このような状況のなかで、交通機関選択の問題を社会的効率性の視点から議論することの重要性が増してきている。これを実証的に行うために日本の都市管交通における生産要素投入、産出、および二酸化炭素排出のデータベースを整備し、さらにこれにノンパラメトリックな効率性測定手法を適用することにより、航空および鉄道の社会的効率性を計測、この結果を「Social Efficiency Benchmarking of Japanese Domestic Transport Services」としてAbu Dhabi, UAEで行われたAir Transport Research Society Conferenceにおいて発表した。さらに、ノンパラメトリックな手法による社会的効率性の測定が内包する技術的問題を克服するために、同一のデータをパラメトリックな手法に用いることで、日本の航空および鉄道の社会的効率性を再度計測した。これにより、ノンパラメトリックな測定手法の技術的な問題が測定結果へ与えるバイアスの度合いと、鉄道の社会的効率性についての優位性が定量的に明らかになった。これらの結果は富山大学極東地域研究センターの山本雅資准教授との共同研究「Socail Efficiency Benchnarking : a Comparison of Parametric and Non-Parametric Methods」として、International Seminar on the Current Issues in the Transport and Environment Fieldにおいて発表された。 また交通とその環境負荷に関する理論分析として、高速道路利用に係る2大外部性である環境外部性と混雑外部性を同時に取り扱うモデルを構築し、さまざまな制約条件のもとでの望ましい自動車交通政策を明らかにした。この結果についても、山本准教授との共同研究「Two Externalities in Auto Transport : Traffic Congestion and Environmental Pollution combined」として、International Seminar on the Current Issues in the Transport and Environment Fieldにおいて発表した。
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Research Products
(4 results)