2010 Fiscal Year Annual Research Report
企業行動と地域政策の変化が地域雇用創出に及ぼす影響に関する実証研究
Project/Area Number |
21730227
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
勇上 和史 神戸大学, 大学院・経済学研究科, 准教授 (90457036)
|
Keywords | 地域雇用 / 規制緩和 / 雇用創出 / 政策評価 |
Research Abstract |
本研究は,今後の地域雇用政策のあり方を検討するため,1990年代以降における企業の海外進出の進展が地域間の賃金・雇用機会の格差に及ぼす影響を実証的に検証する。また,2000年代以降の地方分権化の流れの中で,地域自発型の経済振興策として注目された構造改革特区について,独自のアンケート調査および全自治体に関するマクロデータを用いて地域提案型の規制緩和策が地域レベルの雇用創出に与える影響を実証的に明らかにすることを目的としている。平成22年度は,交付申請書の研究計画に基づき,次のような研究活動を行った。(1)21年度のアンケート調査を用いた特区の雇用創出効果に関する分析結果の知見を踏まえて,構造改革特区で講じられた規制緩和策に,自治体(県,市)独自の雇用施策を組み合わせて実施した自治体(札幌市,北九州市,鈴鹿市)を対象に,独自施策の策定経緯,実績等についてヒアリング調査を実施した。(2)海外生産活動が地域の製造業雇用に及ぼす影響について,産業中分類別のグローバル化の代理指標として従業員ベースで見た海外生産比率を作成した。その結果,次のような研究成果が得られた。(1)自治体における特区の実態は,規制緩和措置の狙いとする対象産業が明示されている場合においても,実際の運用にあたっては対象産業を限定せず,緩和措置の活用実績は多様な産業に及ぶことが明らかとなり,規制緩和策が地域雇用創出の及ぼす影響についても,様々な産業区分による成果指標を用いて,その効果を検証する必要があること,(2)海外直接投資が国内雇用に及ぼす影響は,直接投資の目的によって異なりうることから,より詳細な投資先地域別のグローバル化指標を用いて地域雇用創出・消失への効果を検証する必要があること,などの知見が研究課題が得られた。以上の課題に対処するために論文を改訂中であり,改稿後すみやかに学術誌に投稿する。
|
Research Products
(2 results)