2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730228
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野村 友和 Kobe University, 経済学研究科, 講師 (30507207)
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Keywords | ジェンダー / 男女間賃金格差 / 経済発展 |
Research Abstract |
本年度は特定の国や地域に関して,男女間賃金格差および女性雇用と企業の生産効率についてマイクロ・データを用いた分析を行った。具体的な内容および成果としては以下の二点が挙げられる。 1. ブラジルの労働市場に於ける男女間賃金格差に関する分析を行った。男女の教育機会の不平等は所得や社会的地位の男女格差の大きな要因となっているといわれるが,男女の教育機会に大きな格差がないと考えられるブラジルにおいても男女間賃金格差は存在しており,必ずしも教育水準だけでは男女間賃金格差を説明できないことが明らかとなった。 2. 世界銀行のEnterprise Surveyを用いて,サブサハラ・アフリカにおける企業の女性雇用と生産効率についての分析を行った。女性の賃金が生産性に比して不当に低い地域では,より多くの女性を雇用する企業ほど生産費用を抑えることができ利益率が高くなると考えられるが,サブサハラ・アフリカ企業のパネル・データを用いた分析からは女性雇用と企業の利益率に一概の関係は伺えず,現在その理由の模索や手法の再検討を行っている。 以上の研究は,いずれも容易に他の国や地域に応用可能である。データについては,各国の国勢調査や家計調査はIPUMS等から入手可能であり,Enterprise Surveyも広範な国と地域を対象としている。ここで得られた結果をベンチマークとして,広範な国や地域について国際比較を行うことにより,社会的・文化的背景や経済発展と男女の不平等との関係を明らかにしていくことができる。そのためには,各国や地域の経済成長率や男女の不平等を表す指標などの時系列データが必要となるが,本年度はデータに関する調査と収集を研究協力者に依頼して行った。
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