2009 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアの住宅市場形成―住宅価格の決定要因と地域特性、住生活改善への影響を探る―
Project/Area Number |
21730232
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
道上 真有 Osaka City University, 大学院・経済学研究科, 研究員 (30527693)
|
Keywords | ロシア / 住宅市場 / 住宅政策 / アフォーダビリティ / モスクワ / APEC2012 / 金融危機 / 雇用 |
Research Abstract |
本研究は、日本においてまだ研究蓄積が乏しいロシアの住宅市場研究に取り組むパイオニア的研究である。特に研究対象地域を住宅市場の発展が著しいモスクワ市、サンクト・ペテルブルグ市と、2012年にオリンピックと並ぶ大型国家プロジェクトであるAPECが開催される沿海地方(ウラジオストク市)等を中心に取り上げながら、ロシア連邦全体のマクロレベルまで幅広く、ロシアにおける住宅市場の発展と、2004年末から開始された政府の住宅政策の成否について実証分析することがこの研究の目的である。今年度は、2009年11月にモスクワ市で現地研究協力者とともにデータ・資料収集、情報収集を行った。ロシアの住宅政策は政策課題を順調にクリアしているとは言いがたく、その原因、金融危機の影響等について情報収集および議論を行った。調査結果を元に、今年度は国民の住宅取得可能性(アフォーダビリティ)を中心に、ロシアの住宅政策の中間的評価を行った。具体的には、上記3地域のアフォーダビリティの都市間比較、モスクワ市のミクロ行政区別価格推移とアフォーダビリティ推移、2008年秋に発生した世界金融危機が住宅市場に与えた影響、さらに住宅市場に関連する労働市場に対する危機の影響、ウラジオストク市の住宅市場分析にとって重要な2012年APEC開催インフラ準備について研究し、その成果を各種論文に発表した。分析から、住宅政策の政策諸目標の達成度に遅れが生じており、目標の一つであるアフォーダビリティの向上が計画通りに進展していないことがわかった。来年度は引き続き調査結果の資料をもとに、ロシア連邦全土の地方行政区別のアフォーダビリティ推移、ロシア版住宅金融公庫の実態、モスクワ市の価格決定要因分析、モスクワ市の老朽化住宅分布図と住環境改善と住宅市場との相関等について、分析を進める予定である。
|