2009 Fiscal Year Annual Research Report
巨大新興市場におけるマクロ経済ショックと貧困・所得分配 インドとブラジル
Project/Area Number |
21730236
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
福味 敦 Tokai University, 政治経済学部, 講師 (20379465)
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Keywords | 新興市場 / 財政のサイクリカリティ / ガバナンス |
Research Abstract |
本研究は新興市場におけるマクロ経済ショックが貧困層に及ぼす影響を、財政運営やガバナンスとの関連から分析することを目的としている。四年計画の一年目にあたる今年度は、インドのマクロ経済統計(連邦・州レベル)をはじめ、ガバナンス指標を作成する上で必要な選挙結果などの社会・政治統計の収集と分析を行った。具体的には、(1)インドの州議会選挙データを用いた政治的な競争度指標の作成、(2)新聞や雑誌などメディアの浸透度に関するデータを用いた民主主義指標の作成、などである。また本研究は、マクロショックに対する州政府の財政スタンスに関する分析を、一つのアプローチとして挙げているが、この分野に関する基礎研究として、インド州政府の構造的赤字の推計とその決定要因に関する分析を行った。その成果については、東海大学紀要政治経済学部第41号に「インド州財政赤字の決定要因」として公刊している。また各州財政分析の一環として、電力補助金を政治経済学的に分析した"The Effect of Political Instability on Power Subsidies: An Analysis of Indian States"に関しては、インド・ネルー記念博物館・図書館で行われた国際カンファレンス"INDO-JAPANESE WORKSHOP ON SOUTH ASIAN ECONOMY AND ENVIRONMENT"において報告し、現地研究者との意見交換を行った。また、同様の報告を日本南アジア学会第22回全国大会において行った。この論文に関しては、さらなる分析上の拡張を加えた後に、近日中の海外ジャーナルへの投稿を予定している。本年度の実績を顧みると、インド研究に比重が偏っており、比較対象となるブラジルのデータ収集・分析を予定通りに進められなかったことが反省点である。現在、連邦政府の財政データを用いた時系列分析をインド・ブラジルの両国で行う準備を進めており、平成22年度中にはDiscussion Paperにまとめる予定である。
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Research Products
(3 results)