2010 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアのプロ・プア成長と地域間格差に起因する貧困の持続性
Project/Area Number |
21730237
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
武田 友加 一橋大学, 経済研究所, 講師 (70376573)
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Keywords | プロ・プア成長 / 地域格差 / 貧困 / ロシア / 社会政策 / 労働市場 |
Research Abstract |
平成22年度の研究成果は大別して以下の3つに分類することができる. 第一は,RLMS(ロシア長期モニタリング調査)のミクロ・データ(個票データ)を用いた,移行経済下ロシアの都市・農村貧困の比較分析である.研究代表者はこの比較実証分析を数年間にわたり研究してきたが,本年度,これらの研究成果に大幅な加筆を加え,『現代ロシアの貧困研究』(東京大学出版会)と題する単著を刊行した.本書では,社会主義体制下におけるソ連の貧困と,移行経済下ロシアの貧困との相違を浮き彫りにしながら,移行経済下で急激に拡大したロシアの貧困を実証的に研究している. 第二は,地域データを用いた地域間格差に関する研究である.平成21年度,移行経済下ロシアの経済成長がプロ・プア成長といえるか否かを検証するため、地域データを用いてパネル分析を行った.そして,平成22年度,ストックホルム(スウェーデン)で開催された第8回ICCEES(国際中東欧研究学会)世界大会,及び,タルトゥ(エストニア)で開催された第11回EACES(欧州比較経済研究学会)国際会議において,上記の研究の分析結果を報告した.また,上記の国際学会での研究報告ペーパーに加筆・修正を施し,国際学術ジャーナルに投稿する作業を進めている. 第三は,移行経済下ロシアの生活水準に関わる研究である.本研究の成果は,『現代ロシア経済論』(ミネルヴァ書房,近刊)において,「労働市場と社会政策」と題する章に収められることになっている.本研究では,1990年代に形成されたロシア労働市場モデルは現在でも基本的に変わらない,ということが示されている.
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Research Products
(4 results)