2011 Fiscal Year Annual Research Report
ロシアのプロ・プア成長と地域間格差に起因する貧困の持続性
Project/Area Number |
21730237
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
武田 友加 一橋大学, 経済研究所, 講師 (70376573)
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Keywords | 不平等 / 地域間格差 / 非プロ・プア / ロシア / ミクロ計量分析 / 家計調査 / 農外雇用 |
Research Abstract |
平成23年度は本研究の最終年度であるため,研究を発展させるのと同時に,その成果を広く社会に貢献できるような形で発信することに努めた。研究成果は大別して以下の3つに分類できる。 第一に,本研究の成果を広く一般に公表するために,一連の研究成果をコンパクトにまとめ,論文「移行期ロシアの貧困と不平等:格差容認から格差是正へ」(宇佐見耕一・小谷眞男・後藤玲子・原島博編集代表『世界の社会福祉年鑑2011年版/第11集』所収)として発表した。本論文では,まず,ロシアの最低生存費(貧困線)の法的基盤の歴史的変遷を概観し,移行後のロシアの最低生存費は国際標準に則り設定されていることを示した。その上で,ロシア統計局が設定する最低生存費を用いて,1990年代と2000年代のロシアの貧困・不平等の特徴を明らかにした他,ロシアの経済成長は非プロ・プアであるという実証分析の結果を示した。 第二に,ロシアの最低生存費について更に研究を進めた。この研究で得た知見に基づき,旧ソ連の一つでありロシアと同じく資源豊富なカザフスタンの最低生存費とその測定方法の改善策について検討した。そして,これらの研究成果を,カザフスタン労働省において発表した。なお,研究成果の一部がILO公刊物において発表される予定である。 第三に,ロシア長期モニタリング調査(RLMS)や家計予算調査(ロシア政府統計)のミクロデータ(個票データ)を用いて,2000年代ロシア農村における就労と農外雇用について実証分析をおこなった。これらの研究成果は,論文「ロシア農村におけるインフォーマル就労と農外雇用」(野部公一・崔在東編『20世紀ロシアの農村世界』所収)で発表される予定である。また,シンポジウム「中ロ国境地域」(富山大学)において,「アムール州農村家計の生存戦略からみた極東農業発展戦略」と題する研究報告もおこなった。
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Research Products
(7 results)