2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730239
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
本西 泰三 Kansai University, 経済学部, 教授 (90315218)
|
Keywords | 東アジア / 為替 / 金融政策 / マクロ / 購買力平価 / バラッサ=サミュエルソン |
Research Abstract |
21年度は、為替のMisalignmentに関する研究を、"Are the East Asian Currencies Still Misaligned? An Analysis Based on Absolute PPP-Income Relationship Using Panel Data"にまとめ、Asian Economic Journalに投稿した。 この研究の目的は、東アジア諸国の為替レートについて、その値が適切と思われる水準からどの程度乖離しているのかを計算することである。為替レートの適切な水準は重要な政策的意義がある。為替レートが適切と思われる水準から乖離しているとき、急激な為替レートの調整が、経済に大きな損失をもたらすことがある。こうした事態を避けるために、各国は様々な工夫をして、為替レートを安定させる努力を続けている。その際重要なのは、実際に為替レートの適切な水準はどこにあるのかという問題である。 本研究では、当該国だけでなく、多くの国(百数十力国)の20年分のデータを用いて推計することによって、推計の精度を高めている点に特徴がある。世界銀行が推計したPPPレートを利用することによって、こうした推計方法が可能になった。モデルには、物価水準だけでなく金融要因(金利・リスク・流動性)も取り込まれている点も大きな特徴である。推計結果を利用することで、為替レートが均衡水準から乖離している理由を明らかにすることができることも、重要である。この分析を通じて、東アジア諸国の為替レートが均衡からどの程度ずれているのかを明らかにすることができた。 今後具体的には、以下の点について修正を加える予定である。Misalignmentの計測方法をより適切なものにするため、Misalignmentの各要素への分解方法についてより合理的な方法を見つけ出すこと、説明変数の選択について、理論的基礎を与えること、および、実証分析の方法について、ダイナミックパネル分析の手法を導入すること。
|