2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730243
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
玉田 桂子 福岡大学, 経済学部, 准教授 (80389337)
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Keywords | 生活保護 / 労働経済学 |
Research Abstract |
本研究の目的は生活保護額が中卒者の労働供給に与える影響を明らかにすることである。集計データを用い、生活保護額が中卒者の就労を促進あるいは抑制するのかを分析している。内生性を考慮して推定を行い、近く完成予定である。この成果は、近く投稿予定である。 北海道大学の安部由紀子氏との共著では、低賃金労働者と考えられる中卒男性をターゲットとした労働供給関数を推定し、論文にまとめた。集計データを用いて、地域毎に異なる最低賃金のランクの情報を用いて分析した結果から、中卒男性労働者の労働供給の弾力性は0.15程度という結果が得られた。この論文は"Japan and the World Economy"にアクセプトされた。 さらに、生活保護との関わりが深い最低賃金についての基礎資料を内外に提供するために、最低賃金額がどのように決定されているのかについて英語で発表した。これは昨年度日本語で報告した最低賃金の決定要因についての研究を拡張し、より精緻な推定を行った。最低賃金の決定に際しては労働組合の意向が反映されているとの報道が行われているが、分析の結果から、昨年度の結果と同様最低賃金額の決定に労働組合の意向は反映しておらず、経済状況が反映されていることが明らかにされた。 日本の社会保障制度の解説として、「税・社会保障制度と労働供給」では、生活保護制度の解説、および公的扶助制度の内外の研究を概観した。生活保護制度・海外の公的扶助制度については、経済学的な観点から解説した図書は非常に少なく、図書として出版されれば非常に有益な図書となるであろう。
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Research Products
(3 results)