2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21730248
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鶴田 大輔 日本大学, 経済学部, 准教授 (40422589)
|
Keywords | 金融論 / 企業金融論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、1990年代終わりから2000年代初頭に焦点を当て、景気後退期や回復期に中小企業がどのような方法で資金調達を行っているのか、分析を行うことである。1997年終わりから大手金融機関の破たんが相次ぎ、戦後稀にみる大不況に見舞われた。その際、多くの企業が債務超過に陥り、財務リストラを迫られている。しかし、このような企業の中には、2000年代の景気回復局面において、成長し高収益を確保している企業は少なくない。これらの企業は、さまざまな金融制約に直面し、銀行や取引先からの資金調達が困難になったといわれている。以上のような問題意識に基づき、22年度には以下の三点を明らかにした。第一に、1997年以降の金融危機が中小企業の資金調達行動に与えた影響を分析し、海外の学術雑誌に発表した。従来の研究では、金融機関の貸し渋りが起こり、中小企業は資金調達に大きな制約を受けたことが言われているが、より詳細なデータを分析した結果はそのような事実は観察されないことが明らかになった。この結果をまとめた論文は海外学術雑誌The B.E.Journal of Economic Analysis & Policyに掲載された。第二に2000年代の回復期において、資金需要があるにもかかわらず財務状況が良くない中小企業はノンバンクを利用していることが明らかになった。ただし、ノンバンクを利用した企業の利益率で測ったperformanceはその後、悪化する可能性があり、借り手のモラルハザードが起きている可能性も論文で指摘した。これらの結果をまとめた論文は、海外学術雑誌Applied Financial Economicsに掲載された。第三に債務超過から復帰した中小企業がどのような資金調達行動をとっているのかを実証的に分析し、次年度以降に論文として発表するための準備を行った。
|
Research Products
(3 results)