2011 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ中央銀行制度の新源流~黎明期アメリカ・インディアナの銀行制度研究
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21730249
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大森 拓磨 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (00334219)
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Keywords | アメリカ / インディアナ / フリーバンキング / 中央銀行 / 州法銀行制度 / 通貨金融 / 連邦準備制度 / 銀行間組織 |
Research Abstract |
平成23年度の実施計画は、研究期間が最終年度ということもあり、前々年度および前年度までに積み重ねてきた2年間に渡る研究の到達・蓄積を踏まえた総括と、これまでに積み残してきている研究、すなわち、おもにフリーバンキング論批判の見地から、地域単位で独自に通貨・信用秩序の健全性を維持し続けていた南北戦争以前の黎明期アメリカ・インディアナの銀行制度の展開について、その限界がなぜ訪れたのかという点を究明することにあった。具体的な研究目的としては、分権性と集権性とが同居した独創性溢れるインディアナの銀行間組織のメカニズムが、度重なる景気変動や恐慌の襲来に対しても州域内の通貨・信用秩序の健全性を守り抜き全米の注目を集めたはずであるのに、なぜそのメカニズムが綻びを見せ滅却に向かうことになってしまったのかについて明らかにすることと、そうしたインディアナの銀行制度の展開や経験がその後のアメリカの国法銀行制度や連邦準備制度など連邦ベースの包括的な銀行制度の着想や構築に向けてどう影響を及ぼすものとなったのかについて明らかにするということにあった。これらの研究目的を遂行するために、2点の研究実施計画を立てた。すなわち、(1)黎明期インディアナの銀行制度の実態のうち、特に1855年から1865年までの滅却期の実態について、州銀行委員会報告書および議会資料、当時発行されていた経済雑誌に掲載されているクロニクルや各種統計などの基礎資料を国内外の研究施設等で渉猟・解析しつつ明らかにしてゆくことと、(2)世界の論壇で絶えず進展を見せ続けるフリーバンキング論の最新の理論的な到達状況をおさえ、問題点を前年度に引き続き把持してゆくこととである。最終年度にあたる今年度の実績としては、上掲の(2)の実施によって得られた理論的な成果を織り込みながら、(1)の実態研究について論稿にまとめ発表することができ、3年間に渡る壮大な研究を締め括ることができた。
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Research Products
(1 results)