2010 Fiscal Year Annual Research Report
外国為替直物市場の情報透明性を考慮した経済モデルの構築およびその実証
Project/Area Number |
21730251
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
北村 能寛 富山大学, 経済学部, 准教授 (90409566)
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Keywords | 高頻度データー / 外国為替市場 / 市場期待 / マイクロストラクチャー / 市場参加者の異質性 |
Research Abstract |
本研究は、市場期待に関する情報をリアルタイムに提供する計量経済モデルを開発することを目的とする。今年度の研究成果を要約すれば、以下のとおりである。 1.株式市場に比べ、外国為替市場は情報透明性が高い 外国為替市場では私的情報を保有する市場参加者の数が増加するほど、その参加者間での私的情報の優位性を利用しようとする競争が激しくなり、私的情報が公のものとなるスピードが増す。これは、一般的に、私的情報保有者の増加が市場不確実性を大きくしてしまうことが報告されている株式市場とは異なるものである。よって、株式市場で一般的に用いられる経済モデルを外国為替市場に直接応用することは避けるべきである。 2.市場期待を伝達するオーダー・フローの役割が低下 近年、市場期待を為替レートに反映させる役割を果たすと考えられてきたオーダー・フローのその役割が低下していることが、ここ数年のデーターセットを用いた実証分析より明らかとなった。このことは、オーダー・フローは市場期待を伝達する要素とそれ以外の要素(ノイズ等)で構成され、前者が後者に支配されていることを推測させる。そこで、今年度はオーダー・フローの要素別分解方法についての研究を中心に行い、現在も進行中である。
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