2011 Fiscal Year Annual Research Report
外国為替直物市場の情報透明性を考慮した経済モデルの構築およびその実証
Project/Area Number |
21730251
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
北村 能寛 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (90409566)
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Keywords | ファイナンス |
Research Abstract |
外国為替直物市場の市場参加者の期待を、日次、日中ベースでリアルタイムに計測することを目的とし研究を進めた。この研究の政策的意義は、為替介入政策等を行う財務省等の通貨当局が市場心理をより適切に把握し、より効率的にその政策目邸を達成することに貢献するといったところにある。つまりは、外国為替市場に対して介入政策などを実施する通貨当局は、市場がどのような状態にあるのかをより正確にリアルタイムで把握することが必要であると考え、そのための計量的手法を開発することが本研究の目的であった。また、たとえ介入政策が行われなくとも、市場が如何なる状態にあるか(市場が何を考えているか)といったことを把握することは、金融政策全般にとっても必要不可欠なことである。近年、市場期待を為替レートに反映させる役割を果たすと考えられてきたオーダー・フローのその役割が低下していることが、ここ数年のデーターセットを用いた実証分析より明らかとなった。このことは、オーダー・フローは市場期待を伝達する要素とそれ以外の要素(ノイズ等)で構成され、前者が後者に支配されていることを推測させる。そこで、今後はオーダー・フローの要素別分解方法についての研究を中心に行い、その分解から市場期待を抽出することを試みた。そうすることで、観察されたオーダー・フローから市場期待と知ることが可能となり、適切なタイミングでの政策発動もしくは適切な政策の立案への貢献が期待される。研究期間を通した具体的な研究成果としては、その計測モデルを確立することができ、そのやや複雑な構造をもったモデルを推定することで市場期待に関連すると考えられる具体的な値(数値)を得ることが出来たことである。また、以上に関連する研究成果として、国際専門誌2誌に論文を掲載するに至った。
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